この世界観の表し方20

 

最近、いくつかの漫画を読み始めました。

 

少年誌に載っているような作品ばかりなので、
冒頭から世界観を示す表現が出てきます。
そしてその種類も様々です。

 

例えば、
・「世はXX時代、人々は〇〇を探していた」的な時代のナレーション。
・「ここはなんとか町」という、分かりやすい状況説明。
・ラーメン屋のニュースで、怪獣の出現が報道されている。
・明らかに未来都市のデザイン。個人が顔認証されている。
のようなものです。

言葉で直接説明するものもあれば、
場面や展開に織り込んで表すものもあります。

 

作品冒頭の表現は、読者をファンタジーに導いてくれます。
こういった異世界の表現、憧れますよね。

 

あ〜ぼくも世界観を表したいな〜
やっぱり、強烈な設定の世界がやりやすいだろうな〜

 

例えばそうだなあ
パンデミックが発生している世界とか……

 

ということで、感染症の世界的流行を、作品の冒頭で表す方法をいくつか考えました。

 

 

パンデミック的世界観の表し方20

 

1. 外出する際はマスクが必須

靴を履きかけて「おっと、マスクマスク……」と取りに戻る主人公。
街の人もみんなマスクをしているので、読者は「病気が流行っているのかな?」と推測できます。

 

 

2. 「全国に緊急事態宣言が発令された!世はSTAY HOME時代!」という煽り文句から始まる

作品冒頭から勢いよく煽られると、「この後どうなるの?」とドキドキしますね。 

 

 

3. ゴーストタウンと化した新宿アルタ

誰もいない閑散とした街で、広告だけが流れていたりすると、荒廃した世界観がすぐ伝わりますね!

 

 

4. 天気予報に並んで、毎日の感染者数が発表されている

生活のシステムに溶け込んだ設定描写、作者の腕の見せ所です。

 

 

5. 近所の友だちともテレビ電話で話している

会いに行ける人とも電話でしか話せない、という描写です。
会話の内容からも示せるので、お手軽な導入かもしれません。 

 

 

6. 地域の公共放送で、警報が流れている

住民は慣れて平然としているので、 「これが日常になっているんだ」とわかります。

 

 

7. 「俺の名前はタケシ!学校が閉鎖されたからオンライン授業を受けている小学4年生さ!」

元気ハツラツな小学生主人公も、しっかり自宅待機。

 

 

8. 国からマスクが支給されている

マスクをした配達員さんが届けて回る描写です。支給が遅いと怒っている人が登場したら「設定作り込まれてるな〜」と思っちゃいますね。

 

 

9. 消毒が徹底され、人と人との距離が保たれている

人々の潔癖さを描写しておくだけで雰囲気を出せますね。防護服やフェイスシールドを登場させれば、印象を強めることができます。「感染症」などの言葉を出すまで、展開を少し引っ張っても良さそうです。
 

 

10. 「今日で丸一ヶ月か…長いこと外に出てないな」と独り言

最初は「引きこもりの主人公かな?」と思いますが、読み進めるうちにそうでないことが分かり始めます。他の導入方法と合わせて使うと効果がありそうです。
また、このセリフは「パンデミックが最近起きた」「変化した生活がそのまま続いている」ことを同時に言っているので便利かもしれません。

 

 

11. 授業(オンライン)で、先生が「かつては簡単に人と触れ合うことができました」と解説している

生徒が「またこの話かよ…」と聞き飽きている話ほど重要だったりします。

 

 

12. 客がほとんどいない飲食店に、テイクアウト可の看板が立っている

距離感の描き方が問われる導入です。数少ない客もお弁当を買ってすぐ去っていきます。また、ひとつの店だけではなく、街全体が同じ状況にあることが重要です。

 

 

13. 足りない物資や医療を巡って争いが起きている

14. 濃厚接触を過剰に警戒する人たちがいる

ディストピア的な場面から始まる方法もあります。もう少し具体的に書こうかと思ったのですが、普通に嫌になってしまったのでやめました。

 

 

15. ゴホゴホ……「この俺が、まさかな……」

ニュースや警報と合わせると、何に不安を感じているのか分かります。本当に「まさか」の場合も、そうじゃない場合もあります。主人公の適切な行動を期待します。

 

 

16. 頻繁に誰かと電話する予定がある

遠回しな表現です。例えば、出かける予定は無いのに電話の予定だけたくさん書き込まれているカレンダーなどは、状況を表すアイテムになります。

 

 

17. 演劇や音楽ライブが幻の存在となっている

夢見る少年がネット上のアーカイブなどから、演劇やライブに人が集まっている動画を見て「すげぇや……」と言っている場面です。彼はどのようにその夢を叶えるのでしょうか。今後の展開が楽しみです。

 

 

18. 野生の動物たちが街に繰り出している

通常、人類が滅んだ世界で見られる描写です。「滅亡したのかな?」と思わせておいて、実はひっそりと生活が続いている、というのがこの世界観のミソです。

 

 

19. 感染症への対策方法や薬が開発されている

人類の抵抗から、逆説的に世界観を説明する方法です。市民への注意の呼びかけやその報道は、世界の状況を分かりやすく知らせてくれます。
一方で、政治的思惑や利権が絡む場合があるので、裏側の展開にも繋がりやすいですね。

 

 

20. また会う約束を楽しみにしている

「絶対に生き延びるんだ、あの約束を守るために……」というセリフから、物語が始まります。

 

 

 

以上が、ぼくの考えた「この世界観の表し方20」です。
いかがでしたか?
異世界」作品の導入部分、想像できたのではないでしょうか。

それでは、次回「収束後の日常描写20」でまたお会いしましょう。

さようなら。