今月の断片(麻痺する温度)

 

皮膚が弱い。とても弱い。昔から皮膚科のお世話になっている。最近も肌が痒かったり痛かったりしてどうしようもなく困っていた。

ある日、そんな様子を見かねた双子から「石鹸を変えろ」と言われた。はい、ここから流れるように商品紹介に移ります。ステルスマーケティングではありません、実体験です。続けます。そうやって出会ったのがLIONの「hadakara」である。

保湿成分が洗い流されない石鹸を売りにした製品で、もっちりした泡質が特徴的だ。もともとは普通の固形石鹸を使って体を洗っており、石鹸を変えたところで大きな差は無いだろうと思っていた。だが実際は天と地の差があり、hadakaraを使うようになってからは、風呂上がりの時間が苦痛でなくなりましたとさ。生まれ変わったら銃弾も通さない分厚く丈夫な皮膚を持って生まれたいと思っています。 

こんなんじゃいけないのだけれど、今月全体の2/3ほどを「脚本が手につかないな」か「脚本が進まないよ」と思いながら過ごした。

事実進捗は著しく悪かったし、1週間に1ページも進まない時さえあった。具体的なイメージに纏まらないまま、時が流れた。

結局、〆切が近くなってエイヤーと書いてみてようやく考えが進むようになった。あるいは、1人でサボりながら机に座っている1日より、誰かと話した1時間の方が有意義だった。今日はこのシーンだけ書き上げると決めてしまった方が効率もよかった。

これまでの経験から、書くための方法をよく分かっているはずなのだけれど、いつも新しく始めた時には、どうしたら良いか分からなくて唸っている。

加えて言うなら、コロナで出かけることも出来ずに、一日中、やらなきゃなーと思っているだけなのが良くない。ある程度予定があれば、空いてる時間にやらなきゃ、となるのだけど…。いや、これは言い訳か…。

この夏は1日だけだった。気の置けない友人たちと待ち合わせをして、自転車を漕いだその日だけが、今年の夏だった。スピードを出して風を感じたり、日陰で涼んだりしていた。今月の中頃、異常に暑い日が続いている真っ最中だった。汗だくの3人は、広い公園の中で、かき氷を食べて、ひまわりを見た。頻繁に交わしていた「夏休みっぽいよね」の言葉に、それってむしろ夏休みの関係なさを表しているよな、と思いながら、けれどなんとなく言わなかった。

夏は人生に一度だけ巡ってくる、みたいな表現があった谷川俊太郎の詩を思い出したくて探しているのだけれど、なかなか見つからない。そうしているうちに蝉の声が小さくなる。